共通テストで高得点を狙える科目は? 過去の平均点を徹底分析
- 入試情報
- 2024/12/18
高1、高2のみなさんは、受験でどの科目を使うのか、考えてみたことはありますか?
大学入学共通テスト(以下、共通テスト) でも、教科によっては受験科目を選択する必要があります。そのとき、過去の共通テストで、各科目の平均点がどれくらいだったのかが気になる人もいるかもしれません。
共通テストの受験科目の選択で、多くの人が迷うのは地歴公民と理科です。これまでの平均点が高かった科目を選んだほうがよいのでしょうか。地歴公民と理科、各科目の平均点と、科目選択の考え方について見ていきましょう!
確かに科目で差はあるけれど...
共通テストの問題は、「大学入試センター」という機関が作成しています。どんな入試問題でもそうですが、特に共通テストは、多くの受験生の合否を左右する重要な試験。科目による有利、不利ができるだけ出ないように、専門家が慎重に作問しています。
問題をつくる側にとっては、各科目の平均点が一定の範囲内に収まるのが望ま しいのですが、 どうしても科目によって、また年度によって平均点に差は出ます。 異なる科目で難易度をまったく同じにするのは難しく、また、どの科目にも同じ学力の受験生が集まるとは限らないためです。
共通テストの過去3 年間の平均点を分析!
では、過去の共通テストの平均点はどうだったのでしょうか。地歴公民と理科の各科目について、 3年分の結果を振り返ってみましょう。
*大学入試センター発表資料を基に作成
全体をざっと眺めると、 100点満点換算で60点弱ぐらいの得点が多いようです。が、それでも 結構ばらつきがありますね。
2022年度の地歴では、世界史Bの65.83点に対して、日本史Bは52.81点。約13点の差があります。2022年度は理科①でも、生物基礎と地学基礎の間に約23点の差がつきました。
あくまでこの 3年間の結果を見る限りですが、地学基礎のように3年間とも70点を上回った科目もあれば、化学や生物のように3年間とも55点を下回った科目もあります。
一方で、生物基礎は 2年連続で50点を下回ったあと、2024年度は63.14点に上がりました。同じ科目でも、年度によって差がつくことがあります。
平均点の差が大きいと、「得点調整」が行われることも
なお、科目間の平均点に大きな差がついたときは、一定のルールに基づいて、「得点調整」が行われます。2023年度の理科②では物理と生物の平均点差が大きく、化学を含めた3科目間で得点調整が実施されました。2025年度入試の得点調整の実施条件・方法は下記を参照してください。
令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの得点調整の実施条件・方法について
共通テストの科目選択で生じる有利・不利の実態
例えば、全国平均程度の学力をもつ受験生、 Pさん、Qさんが同じ大学を、同じ教科、異なる科目を使って受験するとします。Pさんが、平均点50点の科目で60点をとった場合、実力以上に力を発揮したと言えます。Qさんは、平均点70点の科目で65点。実力ほどの力は発揮できなかったとも言えます。
しかし、 多くの大学は、平均点とは関係なく、共通テストの得点をそのまま合否判定に用います。 したがってこの年度のこの教科に限れば、平均点を下回った Qさんの方が、合格に近い位置にいるわけです。
受験した科目が結果として平均点が高かった、つまり比較的得点しやすかったときは有利で、逆の場合は不利。何だかやるせないですが、これは、 そういうものとして受け入れるしかありません。
共通テストの科目選びで重視すべきポイント
では、共通テストの受験科目は過去の平均点が高い科目を優先して選ぶべきでしょうか。もちろん、それだけで選択すべきではありません。
まず、 大学・学部・学科によって、受験に必要な教科・科目数や、選べる科目の範囲が決まっています。 履修科目を選択したり、対策する科目を絞り込んだりする前に、受験候補の大学の出題科目を必ず確認しましょう。
加えて、自身の得意 ・ 不得意や、 高校 で履修できる科目かどうかも関わってきます。
平均点は、あまり気にする必要はないでしょう。 そもそも、過去の平均点の傾向が、自身の受験時にも再現されるとは限りません。特に 2025年度入試からは、共通テストの教科・科目の構成が変わるため、過去のデータはあくまで参考程度にとどめるべきです。
「 平均点が高くなるだろう 」 と いう理由だけで科目を選ぶと、 受験した年度の平均点 がほかの科目より低かったときに、後悔することになるかもしれませんよ!
共通テストの 科目選択に迷ったときのヒント
受験候補の大学で必要な科目であることを確認した! 自身の得意 ・ 不得意にもそれほど差がない! ... それでも共通テストの受験科目に迷うときは、何を手がかりに決めたらいいでしょうか。
指針の一つとなるのが、科目ごとに異なる、 学習方法や成果の出やすさの違い です。暗記力と思考力のどちらが大事か、成果が出るまでにどれくらいの時間がかかるか、といった科目ごとの特徴を知ると、自分に向いている科目が見えてきます。
文系受験生にオススメの 地歴公民の選択は?
文系の地歴公民は2科目を課されることが多いため、組み合わせ方が問題です。 『歴史総合,日本史探究』と『歴史総合,世界史探究』は、完成させるまでに大きな労力がかかる一方、完成してしまえば比較的安定して高得点が期待できる科目です。
『地理総合,地理探究』『公共,倫理』『公共,政治・経済』は、先の2科目ほど労力がかからないものの、「確実に 高得点 を取る」のがやや難しいと言えます。
『歴史総合,日本史探究』『歴史総合,世界史探究』のどちらか 1つを選んだうえで、暗記が得意なら『公共,倫理』『公共,政治・経済』、考えるほうが得意なら『地理総合,地理探究』を選ぶのがオーソドックスな組み合わせです。
受験できる大学が限られますが、負担の軽さを重視するなら、『地理総合,地理探究』と『公共,政治・経済』を組み合わせる選択もあり得ます。
理系受験生にオススメの 地歴公民の選択は?
1科目選択が一般的です。 地歴公民で確実に90点以上取りたいという事情がない限り、 『地理総合,地理探究』『公共,倫理』『公共,政治・経済』のいずれかが無難 です。中では『地理総合,地理探究』が、暗記のボリュームが少なめだと言われます。
文系の理科の選択は?
2科目準備しておくと、ほとんどの大学を受験できます。「 基礎」がついた4科目から2科目選ぶのがいいでしょう。学校によって、4科目とも授業を設けているとは限らないので、まずは授業がある科目が選択肢になります。
そのうえで、計算量の少なさという観点で言えば、『生物基礎』『地学基礎』の組み合わせがおすすめです。
計算量が多いと言われるのは『物理基礎』ですが、計算が得意であれば、安定的に高得点を望める科目でもあります。文系ながら、地歴公民よりも数学が得意なタイプの人であれば選択肢になり得ます。
理系の理科の選択は?
「基礎」がついていない4科目から2科目を選ぶのが一般的なケースです。 よく選ばれているのは、『物理』『化学』の組み合わせと、『化学』『生物』の組み合わせです。どちらかでしか受験できない大学も多いので注意が必要ですが、 両方とも 受験 可能だ としたら、『物理』と『生物』のどちらを『化学』と組み合わせるかが迷いどころです。
『物理』は計算量が多く、解法をマスターするまでに時間がかかります。ただ、一度マスターしてしまえば、計算でミスをしない限り、高得点を確保しやすい科目です。
『生物』は『物理』に比べると、知識を覚える比重が高い科目です。知識を固めておけば、大きな失点のリスクは少ないと言えます。ただし、知識があるだけでは解けない考察問題もあるため、高得点をとる難度は高めです。
共通テストで力を発揮するための科目選びのポイン ト(まとめ)
共通テストの平均点は、確かに年度や科目によって差があり、ある程度の有利・不利も生まれます。だからと言って、それをコントロールすることはできません。 平均点の動向を気にするよりも、目の前の勉強に集中し、少しでも高い点数を取ることに力を割いたほうが有意義です。
これから受験科目を絞っていく段階になったら、まずは受験を考えている大学が課している科目を確認し、そのうえで、より自分が力を発揮しやすい科目を選んでください。
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