新課程を学んでいる高1生が受験する、令和7年の共通テスト。
新教科の「情報」が追加されるほか、地理歴史、公民、数学は科目構成が大きく変わります。
過去問がない、新しい共通テストに挑まなければならない高1生にとって、傾向の分析や対策を練るために必ず見ておきたい試作問題が、大学入試センターより11月9日に公表されました。
国公立大学を志望している人を中心に、大学入学共通テストの受験を予定している高1生に知っておいてほしい情報をまとめました!
受験の可能性がないとは言えない高校2年生以上の皆さんも、チェックしておきましょう。
高校1年生の注目ポイント
高1生は、どの科目もまだ学習途中、または学習していない科目ばかりですよね。
そこで、解けないことを前提に、試作問題の出題形式を確認しておきましょう。
地理歴史・公民
高1生のみなさんは、2年生からの選択科目を決める時期です。
選択しようと考えている科目や現在履修している科目の試作問題を見ておきましょう。
共通テストでは、次のような組み合わせで出題されます。
①地理総合、地理探究
②歴史総合、日本史探究
③歴史総合、世界史探究
④公共、倫理
⑤公共、政治・経済
⑥地理総合、歴史総合、公共(から2つを選択解答)
これら6つがそれぞれ100点満点で出題されます。
そして、受験する大学の指定により、この中から1つまたは2つを受験することになります。
試作問題を見るときには、記憶に新しい高校入試や定期テストの問題と比べることが大切です。
次の点に注目すると、今後どういうことに気をつけて勉強していけばよいか、ヒントになるでしょう。
◆問題文の長さ
→設問の前に書かれている説明文や選択肢を含む
◆選択肢の形式
→用語や年代を問う選択肢なのか、意味や解釈等を文章で問う選択肢なのか
「地理歴史・公民は暗記だ」という先入観をもっている人もいるかもしれません。
もしそうなら、そこに「読んで考えることも地理歴史・公民の勉強法だ」ということも加えてみてくださいね。
数学
大学入学共通テストの数学には、数学①、数学②の2つの実施時間枠があります。
数学①
『数学Ⅰ』と『数学Ⅰ、数学A』
数学②
『数学Ⅱ、数学B、数学C』
上記のものがそれぞれ出題され、受験する大学の指定により必要な科目が決まります。
数学では、問題文の長さや内容に注目しましょう。
問題文が長いものは、具体的なできごとなどを数式に表すことができる力が必要になることが多いです。
また、与えられた数式を解いたり、公式を当てはめたりする力とは別の力が求められることがあります。
文章読解力はどの教科にも必要であるということを意識して、勉強に取り組みましょう。
情報
情報は、過去問のない新たな出題科目なので、試作問題の存在はとても貴重です。
基本的には教科書で学習したことを中心に出題されます。
高1生で「情報Ⅰ」を学習中であれば、教科書と見比べながら、どういうところが出題されているのか見ておきましょう。
2年生、3年生で「情報Ⅰ」を学ぶ予定の人は、来年度、再来年度に、ある程度勉強が進んでから確認することを忘れないようにしましょう。
また、同じ大学入試センターのページの中にある、令和3年3月24日に出されたサンプル問題も見ておきましょう。
高校2年生以上の注目ポイント
令和7年度入試では、多くの国立大学において、共通テストの『情報』の受験が必須になります。
現高1生は「情報Ⅰ」という科目を勉強しますが、現高2生以上は「社会と情報」または「情報の科学」という科目を選択して勉強しています。
「情報Ⅰ」とは内容が異なるので、共通テストでは経過措置の科目として『旧情報(仮)』が出題されます。
高2生以上の皆さんにとっては『旧情報(仮)』を受験しなくて済むのに越したことはありませんが、「もしも」のことを考えておくことも大切です。
今回公表された『旧情報(仮)』の試作問題の難しさは定期テストの問題と比べてどうなのか、もしも高校卒業後にあらためて『旧情報(仮)』の受験勉強を始めるとしたら、その負荷がどの程度であるか、イメージしておきましょう。
もちろん、その負荷がどの程度であれ、卒業後に勉強しなければならない科目が増えるのは大変なので、現役合格に向けてがんばっていきましょう。
まとめ
入試制度や出題方針などが変わると不安になります。
しかし、その変化は同じ学年の受験生全員に対して平等にやってきます。
過度に心配する必要はありません。
日々、目の前のやるべきことをきちんとこなしていくことが大切です。
今回、共通テストの試作問題を「解く」のではなく、「見る」ことをオススメしました。
日々の学習に加えて「この問題が解けるようになるには、自分としてどういう勉強をしていくことが必要か」を考えることが、効果的な学習につながります。
<この記事を書いた人>
西島 一博
ベネッセ文教総研所長。株式会社ベネッセコーポレーションで、高校、中学校、小学校対象のさまざまな教材開発に携わる。2016年度より高校用教材・生徒手帳等の制作・販売を行うグループ会社、株式会社ラーンズの代表取締役社長を務め、2021年度より現職。ベネッセ文教総研では、主として中高接続、高校教育、高大接続の領域での研究、情報発信を行っている。
※この記事は、公開日時点の情報に基づいて制作しております。
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