みなさんは国語や英語の勉強に使う「辞書」に対して、どんなイメージを持っていますか?
「口語訳のヒントになって便利」とか、「辞書を使って単語を覚えている」という人もいるのではないでしょうか?
今回はそういったみなさんの辞書のイメージをぶったぎる記事になっています!
同時に、高校生の段階ではあまりイメージのできない、大学の授業でどんなことが行われているかのぞき見するシリーズ=【大学のぞき見シリーズ】の記事としてもお届けします!(名前は今付けました)
大学での「辞書」に関する授業を知り、今の高校での勉強で辞書をどのように使えば効果的かを一緒に探っていきましょう!!
実際の授業を要約!!
今回のお話の軸になるのは、皆さんご存知、『平家物語』の中に出てきた「しばらく」という語です。
現代では、「少しの間」のような意味で使われるこの語を『角川古語大辞典』で調べてみると、「ごく短い時間。少しの間。」といった意味が出てきます。
その「しばらく」という語が生まれる由来になった「しばし」という語を同じ辞書で調べてみると「暫時。しばらく。」といった意味が出てきます。
となると、「しばし」も「しばらく」と同様に「ごく短い時間。少しの間。」といった全く同じ意味になるか...と言われるとそうではありません。
「しばし」は主に平安時代の仮名文学などに、(『古今和歌集』、『源氏物語』など)「しばらく」は鎌倉時代に盛んになった訓読系の文献(漢文や漢文調の文章に訓点を打って読む文章)によく使われるという違いがあります。
こういった意味は大体同じなのに、諸々の要因で語の使い分けがなされることがあります。これを「位相差」と呼びます。
意味的な差は?
もちろん意味的な差も存在します。
全く同じ意味の言葉があり、それが使い分けがなされる特段の要因も無ければ、その語がある意味がないですからね。
意味を特定するために、基本的に大学の授業で古典作品を口語訳する際には同じ作品の中の用例を引いてくることが最優先になります。
用例を分析すると、『平家物語』の中では、「しばし」よりも「しばらく」の方がやや長い時間を示すということが分かっています。(注)
語の意味でも、先述した使われる文章形態でもこの2語は違いがあると言えます。
辞書に同じように書いてあっても、基本的にはそれを疑ってかかるのが大学の学問のスタンスとも言えますね。
(注)『延慶本平家物語の日本語史的研究』 小川栄一 (2008 年 勉誠出版)より
高校生の辞書の使い方
このように、一つひとつ語の由来を調べ、用例を引いて...とはもちろん高校生の段階ではしなくてよいです。
ただ、古典や英語で口語訳、和訳をする際に、何も考えずに辞書を引くのは避けた方がよいです。
調べる語のすべての意味を確認して、どれが最も文脈に合っているかを考えながら訳に取り組むことで、より精度が上がっていきます。
また、余裕があれば類義語、対義語なども確認しておくと違う問題に当たった時にも応用が利きますね。
特に類義語については、どういった意味の違いがあって、どういった使い分けがなされているのかまで見ておくとさらに力が付くと思います!
まだまだ基礎固めの時期ですから、辞書を引くことをためらわず、ひたすら使い倒して語彙力を上げていきましょう!!
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<この記事を書いた人>
広島大 ゆうくん
好きな言葉は、『ご飯、味噌汁おかわり無料』
※この記事は記事公開日時点の情報を基にしています。
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